一般項の推測

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一般項

数列\{a_n\}に対して、一般の自然数nに対するa_n一般項(general term)というのでした。ここでは、数列から一般項a_nを推測し、a_nnで表すことを目標とします。

例1:等差数列

2, 5, 8, 11, 14, 17, …

数列の一般項を予測するときは連続する2つの項の差または比に注目するとよいでしょう。例1で項の差に注意すると、3, 3, 3, 3, 3, …となっており、いずれの差も3であることがわかります。従って、一般項a_nは、23n-1回足せば良いので、a_n=2+3(n-1)=3n-1と予測できます。

このように2項の差が一定である数列を等差数列(arithmetic progression, arithmetic sequence)と言います。

例2:等比数列

1, 2, 4, 8, 16, 32, …

例2で項の比に注意すると、2, 2, 2, 2, 2, …となっており、いずれの差も2であることがわかります。従って、一般項a_nは、12n-1回かければ良いので、a_n=1×2^{n-1}=2^{n-1}と予測できます。

このように2項の比が一定である数列を等比数列(geometric progression, geometric sequence)と言います。

例3:素因数分解の利用

1, 4, 9, 16, 25, 36, …

上の例で素因数分解すると、1(=1^2), 2^2, 3^2, 2^4(=4^2), 5^2, 2^2\cdot3^2(=6^2), …となっており、いずれも平方数であることがわかります。従って、一般項a_nは、a_n=n^2と予測できます。

1, 8, 27, 64, 125, 216, …

上の例で素因数分解すると、1(=1^3), 2^3, 3^3, 2^6(=4^3), 5^3, 2^3\cdot3^3(=6^3), …となっており、いずれも立方数であることがわかります。従って、一般項a_nは、a_n=n^3と予測できます。

2, 6, 12, 20, 30, 42, …

上の例で素因数分解すると、2(=1\cdot2), 2\cdot3, 2^2\cdot3(=3\cdot4), 2^2\cdot5(=4\cdot5), 2\cdot3\cdot5(=5\cdot6), 2\cdot3\cdot7(=6\cdot7), …となっており、いずれも連続する2数の積であることがわかります。従って、一般項a_nは、a_n=n(n+1)と予測できます。

例4:比に注目

1, 2, 6, 24, 120, 720, …

例4で連続する2項の比に注目すると、2, 3, 4, 5, 6 …となっており、各項は階乗であることがわかります。従って、一般項a_nは、a_n=n!と予測できます。

例5:周期性を持つ数列

1, 5, 1, 5, 1, 5, …

例5では、奇数項が1、偶数項が5となっています。この場合一般項は、場合分けを用いて、a_{2m-1}=1, a_{2m}=5と予測できます。さらに、k項ごとの周期性を持つ場合、1のk乗根を用いることで一括して表すことができます。この例の場合、周期は2項ですので、1の平方根の一つである-1を用いて考えます。(-1)^{2m-1}=-1, (-1)^{2m}=1に注意し、15の平均が3であることから、一般項a_nは、a_n=3+2\cdot(-1)^nと予測できます。

例6:分母、分子に分けて考える

\frac{1}{2}, \frac{3}{4}, \frac{5}{6}, \frac{7}{8}, \frac{9}{10}, \frac{11}{12}, …

例6で分母に注目すると、2, 4, 6, 8, 10, 12 …となっており、偶数であることがわかります。続いて、分子に注目すると、1, 3, 5, 7, 9, 11 …となっており、奇数であることがわかります。従って、一般項a_nは、a_n=\frac{2n-1}{2n}と予測できます。

推測は推測でしかない

1, 2, 4, 8, 16, …

上の数列\{a_n\}の一般項はなんでしょうか。例2と同様に、a_n=2^{n-1}でしょうか。しかしながら、これはa_n=\frac{1}{24}(n^4-6n^3+23n^2-18n+24)としても成立します。(ところで、この{a_n}はモーザー数列と呼ばれ、数学的に意味を持ちます。)

一般に、n項が与えられているとき、n-1次の多項式で一般項は表現することができてしまいます。そのため、未知の項の規則性がわかっていない場合、一般項の推測は推測でしかなく、…で表されている次の項次第でその予測は間違っていることもあるわけです。従って、数学の問題で、通常、一般項の推測を答えとして求められることはありません。ただし、与えられた規則をもとに一般項の推測を行い、その後に数学的帰納法を用いて一般項を証明するという問題は出てきます。

このように、一般項の推測は数学的帰納法を利用する問題を除けばあまり数学的ではないかもしれません。しかしながら、数列の様子を直感的に掴む上では役に立ちますし、なにより中学受験の問題やIQテストの問題としては頻出です。そのため続いては、一旦、高校数学とは少し離れてしまいますが、中学受験やIQテストの問題でよく出てくる具体的な項の値を考える問題の解法を考えていきましょう。